9話     誰にでも時には不安はあるはずだ














一通り慶次に説明をし終えた



まりちゃんは今の現状の事や、俺の事、の事も細かく慶次に話した
俺は内心あまり話して欲しくはなかったのだが・・・



慶次が信じてくれないんじゃないかと
怖くて怖くて・・・
たしかに脳の中に直接話しかけられてはいるし
摩訶不思議な現象が起こってはいるけど・・・
でもやっぱり怖くて・・・



彼を直視できなかった



夢吉が心配そうに肩から俺を覗きこんでくる
慶次は俺の手の上で大人しく神が言ってることを聞いていた
最初は暴れてたけど、途中から本当動かないくらい真剣に・・・
まりちゃんの話が終わっても動かなかったくらいだ



怖い・・・



怖い怖い怖い・・・



慶次に嫌われるのが怖い
誰だってそうだ、とか思うだろうけど
・・・知ってる人がいない時代、仲良くなりたいと思った人
俺にはもったいないぐらいいい人で・・・
今の話を聞いて・・・納得してくれたとしても
自分と違う時代から来た得体のしれない人物を快く受け入れてくれる可能性は少ない
俺だって実際会ったら・・・わかんねぇもん・・・







臆病だ・・・俺・・・



!!」



ビクッとする
慶次が俺の目の前をふわふわ浮いていた
何故か俺の顔をうかがうように覗きこんでくる



「大丈夫か・・・?」



・・・・・・心配してくれてるのか・・・?
慶次が俺の頬にすりついてくる
ふわふわの毛がくすぐったい



「うん、平気・・・」

そいつを戻してやれ』



まりちゃんが言う

うん、元に戻したい・・・
自分のためでものためでもあるけど
なによりも慶次のために
元の体に戻してあげたい



「どうすればいいんだ・・・?」

『お前達がこうすりゃいい』




グンッ




え・・・




ググググググ






体が引き寄せられる・・・?;;



「あの・・・まりちゃん・・・?;」

「ちょ、よけろっ・・・;;」

「え、無理ぃっ・・・」



慶次が近づいてくる
ちょ、近い近い・・・;
元から近い距離だったけどさらに近いぃぃっ!;
まりもで可愛いけどっ可愛いけど・・・



ちゅぅ


・・・・・・・・



・・・何が起こったかは後で言おう
それが触れたとたん慶次が煙に包まれていった
夢吉がびっくりして俺の背中に隠れてその様子を心配そうに見ている



『阿呆っ!何故よけた!!;』

「よけるわ!!;」



いくらまりもでも一応男同士ですから!!
第一びっくりしますから!
心の準備だってあるし、せめて一言そうすると言ってくれ;
これで戻れるなら言ってくれれば意地でもするから・・・
あぁ、でもほっぺただけどあたっちゃった・・・
ごめん・・・慶次;;




俺が煙につつかれた慶次に背を向け心の中で手を合わせ謝る
暫くすると慶次の声



!」



俺戻れた!と嬉しそうな慶次の声
その言葉にほっと胸をなでおろす
よかったぁと慶次の方を勢いよく振り返る



「よかったなっ慶っ・・・・・・」



・・・・・・



「な、な?本当の俺かっこいいだろ?」



・・・・・・・・・・



うん・・・確かに
男らしい筋肉
整った顔立ちは美形に間違いなく入るだろう
学校でいえばクラスのムードメーカーで女の子にもモテて・・・
男友達とかもいっぱいいそうだ・・・
・・・・・・でも



「ちっさ・・・;;」

「へ?;」



慶次・・・まだ俺の手のひらに乗っかれるよ・・・;
姿は人だけどっ・・・かっこいいけど、男の俺から見ても男前だけど
でも小さいよ・・・;



「な、なんで・・・;;」



ガーンとショックをうけている慶次・・・
そうだよな;
戻れたと思ったらまだこのサイズじゃな・・・;
でもちいさいままなのってもしかして、もしかしなくても・・・



「やっぱ口じゃないと駄目・・・?;」

『当たり前だ!楽しみにしていたのに・・・』



ぶつぶつと文句を言うまりちゃん
いやいやいや・・・楽しみにっておい;
慶次は慶次で俺の手の上で体育ずわりして落ち込んでるし



『ほれほれ、もう一回ゴー!』



よけいやり難くなったんですケド・・・
夢吉がキャッキャキャッキャ喜んでいるくらいなんですけど
自分と同じくらいになった慶次に感動しているようだ



「慶次・・・口じゃなきゃ駄目だって・・・」

「・・・口・・・」



無理矢理すぎるよな・・・
お互いまだあったばかりに抵抗ある
いや、それ以前にやっぱり男同士というところ
いくら同人誌を見ているからって
この時代にはそういうのがあるからって・・・;



「まりちゃん他の方法ないの?これは荒療治すぎるよ」

『そうかぁ?お前の世界の童話にあったからわざわざこれにしたのに』



ぶつぶつと不服そうに言う自称神
いやいや、無理あるから
確かに白雪なんとかとか、眠れる森のなんとかとかあるけどさっ
そしてうちの姉貴とかなら喜んでやるかもだけどさ



「んじゃあおでこにサインとか・・・」

『それでいくか』

「いいのかい」



そんな簡単に決められるのか神よ・・・
慶次がそれを聞いて目を輝かせた



「その“さいん”ってのくれれば俺元に戻る?」

『お前は無理』



ズバンという神
今それでいくって言ったじゃん
慶次が絶望的表情になり俺の手の上に再び座り込む
ペタンって感じで・・・



『だってもうお前俺の力で人型になってるじゃん』

「・・・うぅぅ・・・小さいよ・・・これじゃぁ;」



まりちゃん可哀相だよ
慶次泣きそうだよっ!;;
虐めるのいい加減にしなよ;
まりちゃんが咳払いをするような音が聞こえる
黙ってろって事か・・・?



『その、の旅手伝ってやってくれないか?』

「ふぇ?」



悪いが頼む、とまりちゃんは慶次に言った
そして
そこからプツンとまりちゃんの声は聞こえなくなった
ただ、それは俺だけのようで慶次にはまだ聞こえてるみたいだ・・・
なんだろ・・・



それから数分後終わったのか慶次が俺のほうを見た
何故か険しい顔をしている
そして戻ってくるまりちゃんの声



、次の所の人物の近くまで飛ばしてやる』

「へ?」

『少し待っていろ・・・』



次のところ・・・?飛ばしてくれるのか・・・?
俺の脳がまだ話についていけず呆けていると
慶次がぺちっと俺の頬を両手で叩いた
何事かと俺が見ると真剣な顔をして



、俺お前についてくわ・・・」

「は?」

「神様っていってるあいつの言う事も信じられない事ばかりだけど、俺はお前自身のことをもっと知りたくなった。手伝ってくれってあの神にいわれたからってのもあるが・・・お前がよければ俺はついて行きたい・・・」



駄目か・・・?
と、優しい瞳に覗かれ何も言えなくなる


おれ自身のことを知りたいって
よければついて行きたいって・・・



「俺、あいつが言ってたように・・・違う世界から来たけど・・・信じてくれるの・・・?」



不安げに問うとにこっと笑顔が返された



「俺は、その事もふまえてお前の、の事がしりたいんだ。お前自身の口から色んな事を聞きたい、俺たちと違う世界だからってなんだよ?」



そんなの関係ないねっ!と、なんでもないように言ってくれた・・・
途端、ジン・・・と目頭が熱くなりその眼から一滴涙がこぼれる
それが次第に止まらなくなった



「わ、ど、どうした?;」

「ふ・・・ぅごめん・・・」



俺の涙をみた慶次が慌てて小さな手で頬を拭ってくれる
心が広くて、優しくて温かくていい奴・・・
俺の脳じゃこれくらいの言葉しか出てこないけど
嬉しくて嬉しくてこみ上げてくる涙は止まらなかった



「・・・よしよし、大丈夫だぞ・・・」



大丈夫、大丈夫と俺の肩にのって安心させてくれるかのように頭を撫でてくれた


現代では友人が少なく一人で過ごすことが多い俺だけど・・・
強がっても、平気だって思っても・・・やっぱり一人は寂しくて
はもちろん、姉ちゃん、何気なく話しかけてくれる腐れ縁の友達だって大事なんだってことが誰もいなくなってよくわかった
知らず知らずのうちに誰かに頼ってたんだ・・・
ここに来て初めて頼れる人がいない、自分だけで何とかしなければいけない状態になって
慶次と会うまで一人で歩いていた時間は長いとはいえなかったけど
本当は圧し掛かってくる不安に押し潰されそうだったんだ


俺の事を知りたい、俺がよければ付いていくって言われて・・・
気づかずに張り詰めていた気持ちが慶次に言われたことで一気に解けた





「ありがとう・・・慶次・・・」





























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舞台裏(*注*雰囲気ぶち壊しのため反転で)














慶:・・・しんみり・・・

政:シリアスだな・・・何がうはうはだ・・・?

佐:嘘つきぃ・・・

親:一個前は凄いお笑いっぽそうなこといってたのにな・・・

幸:この管理人の言う事を信じたらいけないでござる

兄:そ、そんなぼろくそに言わなくても・・・;

慶:しかも誰もでないしな

政:いい加減愛想つかされるぞ・・・?

兄:狽サれは泣く;;

佐:まぁ、やっぱり不安だったんだねちゃん

慶:ポロポロ泣き出して、焦ったけど可愛かったよ?

政:Aー・・・お前次俺の所こいや

慶:まりもにゆだねられてるから無理☆

幸:慶次殿某のところがいいでござるっ

慶:いや、だから判らないって・・・;;

親:慶次っ!俺のところへ・・・

慶:わかんないんだよぉ俺だって!!;

佐:まぁまぁ、そういえば鬼の旦那の所にお気に入りの子がいるって聞いたけどどんな子?

親:あ?お前どこからそんな情報を・・・

佐:忍びですから☆

親:また今度はなしてやるよ

兄:次こそっ出しますっ、見捨てないでくださいっ

幸:いい加減な管理人でござるがよろしくしてやってくだされっ

政:See you








2008 3/20