16話 乙女化絶賛進行中
俺はあいつの事を信用しなかった
出来なかった・・・
いきなり部屋に現れて、人を押しつぶすわ
神に呼び寄せられて他の世界から来ただの訳のわからないことをぬかす
正確には風来坊が言ったことだが・・・
こんな、人間離れした身体になった俺には馬鹿馬鹿しいと、正直叩き切ろうかと
その時はそう思った
だが
今思い返せば、納得がいく内容だった
近頃聞かなくなった他国の動き
ほんの小さい盗賊が村を襲ったと言う話ならば多少あったが
その報告もこの頃、急激になくなっていった
この姿に変わっていたのだとしたらどうだ・・・?
問題など起こせるはずもない
そして・・・
前田の風来坊もこの姿だったという
Sizeは小さいが現に人間の姿に戻っている
成実にいたっては完璧に元通りだ・・・
あいつは間者なんかじゃねぇ・・・
気配も何もよく見れば完璧素人
俺は何をしていた・・・?
始めから信用してやればよかった
後悔してもしょうがねぇ
今となっちゃ、もう遅い・・・
何をしても戻してもらいたいがために謝る・・・んな風に思われちまうだろうな
んなこたぁむしがよすぎる
少なくても俺にはできねぇ・・・
ぎゅっと手を握り締めると後ろからガサッと音がした
伊達さんを探して成実と別れて森の中をうろうろしていた
あ、独眼竜さんていうのは長いから短縮で伊達さんね
成実曰く小さないざこざは消えてないんだって
とくに忍び関係
忍者って奴
俺はよくしらないんだけど
王道なとこで忍○乱太郎、ナ○ト見たいな感じかな・・・
で、それらが伊達さんの命を狙って姿かわってもたまにくるらしい
危ないからって探すの手伝ってるんだけど・・・
・・・・・これ俺迷子じゃないか?;;
どこ歩いてるんだかさっぱりわからない
・・・・やばくね?;むしろ俺がやばくね???;;;
成実ー成実ー!!;右目さんでもいいから俺も見つけてー!!
あ、でももちろん伊達さんも探してるよっ!;
流石の俺でも目的は忘れてないから・・・;
「あ・・・」
「・・・」
木々の間を抜け、葉を避けたところに小さな丸い物体・・・
・・・案外近くに噂の君はいたもんだ・・・;
バッと振り向いて俺を見つめた彼はギロッと睨み返しまたそっぽを向いた
そっぽを向かれるのはしかたないが、こんなとこにいたら成実たちが心配する
そうそうにつれて帰らないと・・・
俺はぽふっととその小さな身体を手で包み込んだ
瞬間中の彼はびくっと身体を震わせ俺の手の中でじたばた暴れた
「Shit!!はなせっ!!」
「駄目、危ないんだろう!?右目さんも成実も心配してる」
じっと目を見つめる
なんだろう、あの時は凄い威圧感を感じた伊達さんの目が
今は拗ねた子供の目に見える
気のせいかな・・・
「・・・こんな姿になっちまった俺なんて・・・」
「だから戻しに来たんだ、俺たちは」
キッと伊達さんを見つめるとその瞳が少し揺らいだ気がした
俺たちは戻しにきたんだ
伊達さんに信じられなくてもなんでも
俺は無理矢理伊達さんの手を取り、自称神からもらった筆でガシガシと
伊達さんの手のひらに文字を書いた
ぱぁぁぁっと成実のときも起こった現象が起こる
身体がひかり、形が大きさがどんどん人間に戻っていく
「・・・・・・」
驚いたように伊達さんが目を瞬かせ
自分の身体を見ている
あー・・・・よかった・・・ちゃんと戻った・・・
ほっとした俺に伊達さんは手のひらに書いた字を見て呟いた
「慕う・・・?」
「周りの人たちが必死であなたの事を想って考えてたから・・・」
心配する成実や右目さん、そして伊達さんが出て行ったことを聞いて慌てて探しはじめた城の兵士の人達
あぁ、この人は本当慕われてるんだなって、思ったんだ
・・・だからこの字にした
伊達さんは気まずそうにいまだ顔を背けたまま・・・
それにしても慶次と伊達さんといいやっぱいい顔してるなぁ・・・
確か・・・BASARAって慶次の前は青い人と赤い人が主役だったってが言ってたけど
そうか、伊達さんがそうなんだ・・・
なんにしてもこれで俺のこの場での役目は終わった
「次は・・・どこに行くかな・・・」
「A?・・・もう行くのか・・・?」
俺のぽつりと言った一言に伊達さんは反応した
俺の腕をぐいっと掴みじっと見つめてくる
・・・・・・・・
「おい、行っちまうのか・・・?」
・・・・・・
痛い痛い痛い痛いっ!!!;;;
待った待った!!;
お兄さん力が、握力ありすぎっ;
めっちゃ痛いよ;;
ぎゅっと握られ、俺の顔が痛みで歪む
「ちょ、伊達さん痛いよ;;」
あまりの痛みに泣きそうになると視界の端に何か光が見えた気がした
・・・なんだあれ・・・?
一瞬だけ見えた光
一見すると人の気配は一切ない
俺はまぁ・・・一般人だからわかんないってのもあるんだけど・・・;
ちょうど伊達さんの後ろだから伊達さんは気づいてないみたいだ
「A?・・・伊達さん・・・?」
俺が呼び方が気に入らなかったのか眉をよせ怪訝そうな顔をする
だって・・・他の呼び方なんかできねぇし・・・;;
そう素直に言うと
ダン!!!!
「っ〜・・・」
思いっきり俺を木に押し付け逃げられないように両の腕で俺の頭をはさんだ
痛いよ!!だから・・・!!;;(涙)
何でやる事なす事が過激なの伊達さん・・・
泣くよ?泣いちゃうよ?俺・・・;
「俺は政宗だ・・・伊達さんじゃねぇ・・・」
顔を寄せ低いボイスで俺の耳元に囁く
その声にゾクッと身体が震え、おもわずギュッと目を瞑る
乙女か・・・俺は;;;
伊達さんは無理矢理俺のあごを掴み自分の方に向かせる
「・・・これからは、政宗と呼べ・・・」
ざわっと風が木々の間を駆け抜ける
伊達さん・・・いや、政宗さんは俺をじっと見つめたまま動かない
ガクガクと脚が痙攣する・・・
そのまま立っていられずガクンと身体が崩れ落ちた
「!!?おっと・・・」
でも身体は地べたに落ちず、細くとも綺麗に無駄のない筋肉がついた腕に支えられた
ナイス反射神経・・・!!;
俺はというと・・・
「・・・・・・」
「おい、どうした」
「・・・ぬけた・・・」
「は・・・?」
「腰抜けた・・・」
へにゃんと力の入らない腰
そう、俺は政宗さんの低音ボイスに腰が抜けたらしい・・・
うぅ・・・かっこ悪すぎる・・・
なんでこの人の声こんなに腰に響くの!!?;
本当に乙女になったか俺!!;;
しばらく沈黙が続いたかと思うと瞬間・・・
「ぶ・・・ははははははははっ!!!」
伊達さん噴き出し大笑い
それはもう見事なほどに・・・
「伊達さん・・・笑わないでくださいよ・・・」
目に涙溜めてまで笑うことないじゃないですか・・・
しかも俺の体制ときたら伊達さんに寄りかかったままであり
彼は笑いながら俺を抱きこんでくしゃくしゃと頭を撫で回してくれました
くそー・・・;
俺が膨れて彼を見ていると
「・・・戻してくれて・・・Thank you・・・・・・」
ひとしきり笑った彼はぴたりとそれを止め、消え入りそうな声でつぶやいた
そして
「・・・悪かった・・・」
信じてやれなくて
酷い事を言って本当悪かったと・・・
木々に囲まれ青々と生い茂った草草が揺れ
その中で唯一光が差す一本の大木の下
政宗さんの俺への謝罪を、俺は身体の力をぬき自らの身体をすべて預ける事で返事を返した・・・
NEXT
雰囲気ぶち壊しの舞台裏
佐:なんとかまとまったね・・・;
兄:苦労したぜ・・・;
親:でも政宗の所もう少しいそうだな・・・この分じゃ
成:よかったなぁ梵
政:あぁ・・・よかった、もうあのまま俺が貰っちゃ駄目か?
全:だめっ!!
幸:政宗殿は引っ込んでいただきたく・・・
政:An?お前こそ一生引っ込んでな
幸:嫌でござる・・・
佐:ほらほらー;;喧嘩しないの;;
成:まったく仲がいいなお前ら
幸・政:よくない!!(でござる)
親:あれ?そういや慶次は・・・?
兄:カミングアウト中だ
佐:そういえば慶ちゃん今回出てなかったね;;
政:拗ねたか?
兄:うん
親:きっぱり言うなぁ・・・
佐:さぁて恒例(?)次回予告『拗ねた男』・・・・・;
政・幸:・・・・・・
親:ま、予定は未定だから・・・;
成:これを連れ出した俺のせいになるのかな・・・;;
兄:こんな奴らですがまた来てやって下さい
2008 5/9